不動産投資ニュース
新しい不動産投資?不動産STO(不動産デジタル証券)を解説②
FINDING FUNDS編集部です。
今年はエルニーニョ現象の影響で暖冬になっています。気候変動が与えるものの中で、特に影響が大きいのが農作物です。実はトウモロコシや大豆といった農作物も金融商品として取引されており、コモディティ投資と言われます。2023年のエルニーニョ現象は、「スーパーエルニーニョ」と呼ばれるほどの歴史的な異常気象だったため、このタイミングをチャンスとして捉え、投資判断をしていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?投資のアンテナは常に高く張っていたいものです。
前回のコラムでは、不動産STO商品として2つをご紹介しました。本コラムでは引き続き、不動産STO市場の概況と特徴(メリット・デメリット)を確認していきます。気候変動など投資に関するアンテナは無数にありますが、不動産STO商品に関してもアンテナを張っておきましょう。2024年の不動産投資に関する大きなテーマとなりうるからです。
不動産STO商品の種類と市場規模
不動産STO商品は、数年前から実証実験が行われており、初登場したのは2020~2021年頃です。そこから様々な不動産会社や金融機関が商品開発にしのぎを削り、市場が拡大していきました。2023年6月段階では、以下のような商品種類・発行残高となっています。前回説明した商品は、一番上の受益証券発行信託(受益証券)に流動性をもたせて、さらに進化させたものです。
この当時で300億円を超える発行残高だったのですが、執筆時点ではすでに600億円(運用規模はその倍程)を超えており、半年ほどで勢いよく伸長しています。ちなみに2032年には2.6兆円の市場規模になるといった試算もなされています。
ちなみに、不動産を含むリアルアセットのトークン市場(広義のRWAトークンといいます。)が、国内外含めて急速に発展しており、いい相乗効果が期待できそうです。
(資料の出典)
https://www.fsa.go.jp/singi/digital/siryou/20230606.html
https://www.fsa.go.jp/singi/digital/siryou/20230606/3boostry.pdf
https://www.fsa.go.jp/singi/digital/siryou/20230606/4mutb.pdf
不動産STO商品(不動産デジタル証券)の特徴(メリット・デメリット)
他の不動産投資商品と比べると特徴を掴みやすいです。まずは、J-REITとの比較から見ていきましょう。
種類 | 窓口 | 単価 | 流動性 | 税金 | |
不動産STO | △(◎) | 証券会社 | 10万円~ | △(○) | 上場株式と同様 (申告分離) 雑所得 |
J-REIT | ○ | 証券会社 | 数万円~ | ◎ | 上場株式と同様 (申告分離) |
一口の単価や税金面ではあまり差はありませんが、種類と流動性に差があります。不動産STOはこれから様々な種類の商品が提供されていくことが予想されますので楽しみですね。流動性の高さは、J-REITに軍配があがります。不動産STO商品はまだまだ認知度も低く、一度買うとずっと持ち続けるタイプの商品が多いのが現状です。ただし、前回記事に取り上げたような流動性を確保できるタイプの商品の供給が予想され、ある程度は克服されると考えられます。とはいえ、上場しているわけではないため、当面は限定的な流動性の向上に留まるのではないでしょうか。
補足ですが、流動性が高いものを必ず選ぶべきかというとそうではありません。皆さんの投資スタンスに合わせてどちらが合っているか検討しましょう。
次に、不特法商品と比較してみましょう。
種類 | 窓口 | 単価 | 流動性 | 税金 | |
不動産STO | △(◎) | 証券会社 | 10万円~ | △(○) | 上場株式と同様 (申告分離) 雑所得 |
不特法 | ◎ | 不動産会社 | 1万円~ | △ | 雑所得 不動産所得 |
不動産STO商品には、上場株式と同様の税制となるものがあり、税金面については、現状は不動産STO商品の方が有利です。ただし、そうでない商品もあるので注意が必要です。一口単価の低さや投資窓口等の「投資初心者の取っ付きやすさ」については、現状では不特法の方が優れています。
以上、不動産STO商品をJ-REITと不特法の商品と比較してきました。改めて不動産STO商品の特徴をまとめると、
・種類は今後増えていく
・証券会社を通して小さい単位でも買える
・流動性は高くはないが改善される
・税金面でのメリットがある(場合もある)
・運用期間は決まっており数年~十数年と長め
となります。不動産STO商品は、現時点では「J-REITと不特法の商品との間くらい」の商品と言えそうです。今後の不動産STOを含む不動産投資商品市場の発展が楽しみですね!
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この記事を書いた人
ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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