不動産投資ニュース
株主になるメリットは何だろう

FINDING FUNDS編集部です。
少し昔のことですが、2020年8月31日に記憶に残るニュースが発表されました。著名投資家であるウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが日本の5大商社の株式を購入したというニュースです。バフェット氏は、株式が本来の価値より低く評価されている企業を探し出し、その株に投資する「バリュー投資」という手法を用いて、高い運用実績を実現してきました。
バフェット氏は年率20%という信じられない運用成績を50年近く出し続け、今や「オマハの賢人」と呼ばれる存在となりました。ちなみにオマハは彼の出生地であるアメリカのネブラスカ州にある国際都市であり、「流れに逆らって進む人」という意味があるそうです。なんだかバフェット氏の投資手法にも通じる意味だなと感じます。
そんな彼が、将来性ある投資先として選んだのが日本の商社だったのです。伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の株式をそれぞれ時価総額の5%程度取得しました。当時の円相場で換算して6,000億円ほど。投資の神様に続けと、他の投資家もこぞって商社株式に投資をしました。これらの株は、ニュース後に10%近くの大幅上昇となりました。
証券会社で口座を開設することで、皆さんもバフェット氏と同じく、5大商社の株を買うことができます。実際に株を購入したらどのような良いことがあるのでしょうか。過去のコラム「私たちの生活には株がある」にて、株主の3つの権利を学びました。本コラムでは、株主になるメリットについて考えていきます。
個人投資家が気にしていること
ある日、個人向けIRセミナーに参加しました。IRとは、Investor Relationsの略で、企業が投資家に向けて事業や財務の状況を伝え、自社の情報を発信する活動のことを指します。IRセミナーは企業の担当者が、「私たちの会社は将来こんな事業をするので、安心して株式を買ってくださいね。」とアピールする場所なのです。
会場には参加者が50名ほどおり、セミナーを熱心に聞いていらっしゃいました。企業担当者は代表取締役ほか、役員が担当することもあり、日ごろのニュースでは聞けない詳細な情報を知ることができます。中でも面白いのが質疑応答の時間です。
「御社の今後の事業見通しについて詳しく知りたい。」「株主に対しての利益還元についてどう思うか」「配当だけではなく、株主優待も充実させてほしい。」と参加者が次々と質問していきます。
金融機関向けのセミナーと異なり、「あんたのとこの資料、もっと見やすくなりませんの?」といった企業側の予期せぬ方向から質問が飛んでくることも多々あり、そういった場面に出くわすと自然と心の中で「頑張って!」と応援してしまいます。
個人投資家が気にしていることは、①将来の見通しと②利益分配の2つに分けられます。それはなぜか。株主となると得られるメリットは、この2つに集約されているからです。
株主が得られる利益
株主には①利益配当請求権②議決権③残余財産分配請求権の3つがあるのでした。このうち、②は実際のところバフェット氏のような上位株主の票で決定されることが多く、③は会社が解散するときの内容であるため、あまり頻繁に登場しません。そのため、個人投資家は①の利益配当について、日ごろから気を配っているのです。
個人投資家にとっての利益は大きく2つに分けられます。
①値上がり利益(キャピタル・ゲイン)
株式を保有した日の価値(株価)と比べて、価値が上昇したときに株式を売却することで得られる利益のこと。例えば、株価が1,000円の株を200株購入したとすると、購入金額は1,000×200で計200,000円となります。半年後に株価が1,500円になったときに売却すると、売却金額は1,500×200で計300,000円となり、購入金額との差額である100,000円が利益となります。株価は将来の事業状況によって上下することが多く、企業の将来見通しは個人投資家にとって気になる内容なのですね。
②保有者利益(インカム・ゲイン)
株式を一定期間保有することで得られる利益のこと。企業は稼いだ利益を定期的に株主に配分しており、これを「配当」と呼ぶのでした。また、最近では株主優待制度という、お金と違ったものを贈る企業が増えています。具体的な内容については、次回コラムにて学んでいきましょう。個人投資家は企業のファンであることが多く、企業にゆかりのある品物を株主優待で欲しいと思う傾向にあります。
バフェット氏も皆さんと同じように、これら2つの利益を得ることを目的として5大商社の株式を購入しています。最近では2022年11月21日に、株式保有割合を高くしたと報じられ、再び注目されています。
次回コラムでは、株を見るポイントを学んでいきます。せっかくなので、バフェット氏になったつもりで5大商社の株式を分析してみましょう。2020年8月に彼はなぜ商社株を購入しようと思ったのでしょうか。購入したことで利益は得られたのでしょうか。
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この記事を書いた人

ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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