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狭き門をくぐり抜けた上場企業

FINDING FUNDS編集部です。
年の瀬も近づき、2022年を振り返る機会が増えてきました。新型コロナウイルスの感染爆発、ロシア・ウクライナ情勢悪化に伴う世界景気の後退、政情不安と、いつにも増して波乱に満ちた1年だったのではないでしょうか。
日本の株式市場も変化に満ちた1年でした。日本円は対ドルで150円を超え、輸出企業にとっては業績の追い風となりました。例えばアパレル製造小売として名高いファーストリテイリング。ユニクロやジーユーといったブランドで世界的に知られています。海外で販売した商品は、日本円に換算されるので、円安になるほど売上が上がります。2022年8月の決算では、為替だけで1,143億円もの利益を計上しており、円安の恩恵を大いに受けていることが分かります。
さて、企業のHPには多くの場合「沿革」というページがあります。ここには、企業が産まれてから現在までの変遷が書かれており、その企業の歴史を学ぶことができます。ファーストリテイリングのHPを見てみると、1949年3月に山口県宇部市にて創業と書かれています。そして、1984年に広島で開店したのが「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」。略してユニクロです。
1984年6月に、等さんのご長男である正さんが代表取締役となります。自社で商品企画から製造、販売までを一手に担うSPA(製造小売業)として、業績を拡大していきました。そして、1994年には株式上場を果たし、1999年には東証一部銘柄として指定されるに至りました。
このように、企業には様々な歴史があり、私たちの身の回りには上場企業が多く活躍しています。本コラムでは、上場企業というのはどのようなものか、上場するための基準は何か学んでいきます。
株式上場によって市場で株が取引される
前コラムお伝えした通り、会社の株式を公に取り扱ってもらうようにする仕組みが上場です。株式上場することで多くの投資家に会社の株を取引してもらえるため、企業にとってはお金を用意するのに有効な手段と言えます。
株の取引をする場所は市場(しじょう)と呼ばれ、大きく3つの市場に分けられます。株式上場は企業にとってメリットが大きいものである反面、上場に至るまでの審査は厳しいものになります。以下、東京証券取引所の上場基準を見ていきましょう。
グロース市場
グロース市場は、高い成長可能性を実現するための事業計画が策定され、最低限度の取引ができることが基準となっています。取引の基準となるのが時価総額です。株価×発行済株式数で算出され、会社の規模を表す数字です。
事業計画及び成長可能性について継続的に開示されることが求められます。株主数は150人以上、流通株式時価総額は5億円以上という基準が設けられています。今後、高い成長が見込まれる企業の株を取引することを目的としているため、利益基準については儲けられていません。
2022年4月4日時点では、466社がグロース市場に上場しています。
スタンダード市場
スタンダード市場は、上場企業にふさわしい時価総額と持続的な企業成長が見込めることが基準となっています。
グロース市場と異なり、直近1年間の利益が1億円以上という基準が設けられています。さらに、株主数は400人以上、流通株式時価総額は10億円以上と、株取引のしやすさ(流動性)を加味した基準が設けられています。
2022年4月4日時点では、1,466社がグロース市場に上場しています。
プライム市場
プライム市場は、機関投資家(年金や金融機関といったプロの投資家)の投資対象となるのにふさわしい時価総額であることが基準となっています。プロの投資家に取引されるためには、取引できる株がそもそも多くなければなりません。
そこで、株主数は800人以上、流通時価総額を100億円以上という基準が設けられています。さらに、経営状況が安定的であることも求められ、直近2年間の利益合計が25億円以上という基準もあります。
2022年4月4日時点では、1,839社がプライム市場に上場しています。
上場という価値
3つの市場に上場している企業は、合計で3,771社。対して2021年6月時点の企業数は367万4,000社(総務省・経済産業省『経済センサス活動調査』(2022年5月31日))。日本企業の中で上場企業と名乗れるのは、わずか0.1%です。株式上場がいかに狭き門なのかということが分かります。
こうして選び抜かれた上場企業は、日々、市場にて株が取引されるようになります。さて、ここまでは企業目線に立って上場を学んできましたが、次回からは投資家目線にたって上場を考えていきましょう。
あなたが株に投資をするときには、どういった企業に投資をしたいと思うでしょうか。「経営が安定している会社の株の方が安心できるよね。」「いやいや、株なんて考えたって分からないよ。ここは一攫千金を狙ってバイオベンチャーに投資しよう。」など、様々な考えがあります。
どの考えも正しいです。ただ、企業のことを知る手段を持つことは大事です。あなたの考えに沿った会社を見つけられるよう、次回は上場企業の調べ方について学んでいきます。
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ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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