不動産投資ニュース
不動産の4つの評価方法を知ろう
FINDING FUNDS編集部です。
分譲マンションのモデルルームを見学することがありました。案内開始前のモデルルームでは内装工事が少し残っており、まさにこれから世に出ていくというタイミングでした。部屋のデザインは時代と共に変化し、照明器具の配置やコンセントの位置など、細かい気配りがなされていることが印象的でした。その中でも驚いたのは販売価格です。過去のコラムでもお伝えした通り、不動産の価値を測るモノサシは複数あり、分譲マンションにおいては、坪当たりの販売価格が1つのモノサシとなります。(2023.2.1のコラム「土地価格を測る2つのモノサシ」をご参照ください。)
例えば、70㎡の分譲マンションが8,000万円で販売されていたとします。この分譲マンションの坪あたりの販売価格を計算してみましょう。まずは部屋の面積を㎡から坪に換算します。これは、面積に0.3025を掛け合わせることで計算でき、70×0.3025=21.18坪となります。(少数第3位を四捨五入)坪あたりの販売価格は、販売価格を坪で割ることで計算でき、8,000÷21.18=377.71万円/坪となります。部屋の面積が広くなれば価格が大きくなることが通常なので、販売価格ではなく坪あたりに換算することで、その分譲マンションが割安か判断できます。
見学した分譲マンションは過去の実績から考えると、坪あたり300万円が相場でした。ですが、販売担当に聞くと、坪あたり350万円で販売価格を設定しているとのことでした。昨今の原材料価格の上昇に加え、土地の取引価格の上昇が続いているため、チャレンジングな販売価格になったという経緯があったようです。事業者にとって、分譲マンションの売れ残りを避けたい一方で、早く売れすぎると設定価格が低すぎたのではという疑念が社内で湧くため、販売価格の設定はとても慎重になります。うまく販売が進むことを祈って、モデルルームを後にしました。
皆さんも分譲マンションや戸建て住宅の購入を検討される場合には、坪あたりの販売単価が周辺物件とどれほどの乖離があるのか念頭に置かれた方が良いと思います。その物件が高いのか、安いのか、高いのであれば何が原因なのかを細かに確認した方が、納得のできる物件に出会える確率がグッと上がります。今回のコラムでは、不動産の評価の仕方を4つ学んでいきます。土地価格のモノサシとなるものですので、覚えておいて損は無いでしょう。
1物4価と呼ばれる不動産評価
土地の価格は評価機関と評価内容に応じて「実勢価格」「公示価格」「相続税評価額」「固定資産税評価額」の4つに分類されます。まずは下図をご覧ください。評価内容を横に並べ、棒の高さで実勢価格を100とした場合のおよその価格水準を示しています。以下から、順に内容を整理していきましょう。
1.実勢価格
不動産が実際に売買された価格のことを指します。不動産取引は個別性が高く、売買価格は公的な入札など特別な要因がない限り、公開されるものではありません。なので、正確な売買価格を把握するということは極めて困難です。国土交通省が取引価格情報を公開していますが、これもおよその金額を掴むことしかできません。そこで、次の公示価格を用いて不動産価格の目安を掴むことになります。
2.公示価格
一般の土地取引に対するモノサシとして、毎年3月に国土交通省の土地鑑定委員会が公表している価格のことを指します。まず、土地鑑定委員会が、エリアの土地価格を代表するであろう場所を選定します。これを標準地と呼び、今年は全国で26,000地点もの場所が選定されています。1月1日時点で、この標準地1㎡あたりの価格がいくらなのか不動産鑑定士が調査した結果、算出されたものが公示価格です。公示価格は国土交通省の「標準値・基準地検索システム」に掲載されており、土地取引の目安価格として参考になります。
3.相続税評価額
土地は所有者から他者に贈与する時や相続する時に税金がかかります。この税金を計算する時の基準となる価格のことを指します。毎年7月に国税庁から公表され、「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」に記載されています。そこで、この図の中には道路に面する土地が1㎡当たりいくらの評価となるかが記載されています。なぜ道路をベースとした評価になるかというと、土地は必ず道路に接していなければならないという義務があるからです。これを接道義務と言います。次回以降のコラムで相続税評価額の計算について詳しく見ていきましょう。
4.固定資産税評価額
不動産を所有していると、固定資産税が毎年かかります。この税金を計算する時の基準となる価格のことを指します。各市町村が算定しており、3年ごとに価格は見直されます。今年はちょうど計算見直しに当たるため、中には税金が高くなったと感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。固定資産税は不動産取得税などの他の税金の計算に使われるため、土地取引の場面で遭遇します。個別性が高い価格のため、金額を調べるためには役所への申請が必要となります。公示価格の70%の水準となるよう調整されているので、公示価格から類推することも可能です。
以上のように、土地の評価方法は大きく4つに分かれています。中でも強調したいのが、3の相続税評価額です。この土地評価があるため、不動産は相続税対策に有効とされています。次回からは、そもそも相続税とは何なのか、なぜ不動産が相続税対策に有効とされているのかを学んでいきます。
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ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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