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不動産特定共同事業法(不特法)とは?事業形態についても解説

FINDING FUNDS編集部です。

少額から不動産投資ができる不動産クラウドファンディングは、従来の不動産投資とは違い、気軽にチャレンジできる投資方法です。過去のコラムでも何度か登場してきましたが、今回は改めて事業全体のことをお伝えし、次回以降のコラムで詳細な解説をしていきます。

投資家が安心して不動産に投資するために制定された法律が、「不動産特定共同事業法(不特法・FTK法)」です。不動産クラウドファンディングは、この法律に則って提供されているサービスです。まずは不特法の解説から始めていきましょう。

不動産特定共同事業法(不特法)は、投資家の利益を守るための法律

不動産特定共同事業法(不特法)とは、事業者による適正な事業運営と投資家の利益保護を図ることを目的として、平成6年(1994年)に制定されました。実は平成初期は財務体力のない会社が次々と倒産していきました。そのような時代背景があり、不特法では事業をするにあたって問題が発生しないように、資本金や宅建免許、財政基盤、人的構成などの要件を定めています。

不動産特定共同事業の種別

不動産特定共同事業者は事業や出資額に応じて以下の4つに分類されます。

事業者の種類資本金事業内容
第1号事業者1億円不動産特定共同事業契約を締結し、不動産取引で得られる利益の分配を行う
第2号事業者1000万円不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介を行う
第3号事業者5000万円特例事業者から委託され、不動産特定共同事業契約による不動産取引業務を行う
第4号事業者1000万円特例事業者に代わり、不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介を行う

事業者の種類には第1号から第4号まであり、それぞれ資本金や事業内容には違いがあります。第1号事業者においては、資本金が1億円以上の会社でないと許可を受けられません。

(出所)国土交通省「不動産特定共同事業(FTK)法の概要」

不動産特定共同事業者となるには許可が必要

事業者は投資家と不動産特定共同事業契約を締結し、不動産特定共同事業者として出資を募って不動産の売買・賃貸等の事業を行うには許可を受けなければなりません。主な許可要件は以下の通りです。

【主な許可要件】

・ 宅建業の免許
・ 財産的基礎が良好、公正かつ適確に事業を遂行できる人的構成
・ 基準を満たす契約約款(一般投資家を対象とする場合のみ)
・ 事務所ごとに業務管理者を配置(不特事業3年以上、実務講習、登録証明事業[不動産証券化協会認定マスター、ビル経営管理士、不動産コンサルティングマスター])

代表的な不動産特定共同事業の事業形態

不動産特定共同事業契約には一定の契約類型が定められています。代表的なのは、「任意組合契約型」「匿名組合契約型」「賃貸委任契約型」の3つです。ここでは、それぞれの契約類型について解説します。

任意組合契約型

事業者と投資家が出資をして運用の対象となる不動産を共有し、共同事業として運用することを目的に組合を作ります。事業者が業務執行組合員として対象不動産を運用し、組合員である投資家に収益を分配します。任意組合型では投資家は対象不動産の所有者の1人となり、投資家が得た分配金は不動産所得とみなされます。

匿名組合契約型

事業者が匿名組合員から出資を受けて営業を行うことで、組合員が利益の分配金を受け取ります。営業者は匿名組合事業として対象不動産を運用し、匿名組合員に収益を分配します。匿名組合型の契約では、物件の所有者は事業者であり、投資家が物件を所有することはありません。投資家は所有者ではないため、匿名組合型で投資家が得る分配金は雑所得となります。

不動産特定共同事業では匿名組合型が多く利用されており、2020年度においては全体の約4割を占めています。

(出所)国土交通省「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」 P13

賃貸委任契約型

事業者と投資家で対象不動産を共有し、共有している不動産を投資家が事業者に賃貸または賃貸の委任をします。事業者が対象となる不動産を運用し、共有者である投資家に収益を分配します。賃貸委任契約型のケースでは、出資者は実際に不動産を所有することになるため、不動産登記簿には出資者の名義も登記されます。

複数の投資家に出資を募って行う不動産事業について、投資家の利益を保護するために不特法が制定されました。投資家が安定的に長期間の不動産投資を行えるように、2017年、2019年に法改正が実施されています。次回のコラムでは、2017年に制定された小規模不動産特定共同事業について解説します。

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ファイファン編集部中の人

証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター