不動産投資ニュース
日本が海外投資家に注目される理由
FINDING FUNDS編集部です。
真夏の暑さが続く今日この頃、お元気にされていますでしょうか。仕事柄、土地や建物を外から眺める機会が多いので、日焼け止めクリームと日傘は欠かせません。夏になると冬が恋しくなり、冬になると夏が恋しくなるのは、私だけでしょうか。先日、冬がますます待ち遠しくなるようなお話を伺いました。2024年1月に開催される札幌国際芸術祭、略してSIAF(サイアフ)についてです。運よく、SIAFの運営に携わられている方からお話を伺うことができました。
SIAFが始まったきっかけは、2013年に札幌市がユネスコから「メディアアーツ都市」としてアジアで初めて認定を受けたことにあります。メディアアーツ都市とは、デジタル技術などを用いた新しい文化的、クリエイティブ産業の発展を目指す都市のことを指し、札幌市はユネスコからの認定を受けて、「文化を軸とした他の加盟都市との新たな交流や、関連事業を通じた人材育成を図り、産業振興など札幌の活性化につなげていきます。」とコメントを発表しています。(2017年9月11日発表) そして、翌年の2014年から3年に1度、札幌でSIAFが開催されることとなりました。SIAFは世界の最新のアート作品に出合えるアートイベントで、開催ごとにイベント全体を指揮するディレクターが変わります。初回は坂本龍一さんをゲストディレクターに迎え、地域のボランティアの方々と協力しながらイベントを成功させたそうです。そして2017年に第2回目を開催、2020年は新型コロナウイルスの影響で開催中止となり、2024年に3回目の開催となります。
3回目の開催時期は芸術祭として異例の冬となり、新しい挑戦となるそうです。大会のテーマが「LAST SNOW」、直訳すると終わりの雪。そしてサブテーマが「はじまりの雪」となっています。今年降る雪は過去から見ると終わりの雪ですが、今を出発点として未来を思い描くとするとはじまりの雪とも言えます。今回のSIAFを起点とした未来への問いかけがなされたテーマとのことです。SIAFは2024年1月20日から2月25日までを開催期間としており、同期間中は札幌が注目されることになるでしょう。
実は北海道は不動産という視点でも注目されています。7月に国税庁が発表した路線価で、北海道は昨年度から平均して6.8%もの上昇となり、全国トップでした。最近は北海道のみならず、日本全国の不動産が上昇しています。実は、海外投資家は札幌だけではなく、日本を魅力的な投資対象として注目しています。なぜ注目されるようになったのか、考察を交えてお伝えします。
日本の良さを考える
日本に住んでいると、日々の暮らしに慣れているので気付きませんが、海外の方とお話しをしているとハッと気づくことが多々あります。よく言われるのが治安の良さです。先日のこと、うっかり財布を落としてしまいました。財布の中には運転免許証やクレジットカードなど大切なものを詰め込んでおり、現金も当然入れていたので、返って来ないだろうとがっかりしていました。交番に届出をし、カード会社に利用停止連絡をし、落とした後の対応で1日を終えてしまいました。心許ない日々を2週間ほど過ごし、財布を落としたことをすっかり忘れてしまっていたある日に、交番から連絡があり、無事に財布が戻ってきました。交番に届けられた方はお名前を告げられず、お礼を言うこともできないままなのですが、感謝の気持ちで一杯になりました。このような出来事は海外では考えられないそうです。日本の治安の良さ以外にも、不動産という視点では3つの魅力があると言われています。
1.カントリーリスクが少ない
カントリーリスクとは、投資対象となる国の事情により、資金回収ができなくなるリスクのことを指します。投資先の国が海外に送金できなくする措置を取ったり、国内でクーデターが起こり事業存続自体が困難になったりというようなことが例として挙げられます。日本は自民党が安定して政権を握っており、国民もそれに対して大規模なクーデターを行うという事例が他国と比べると少ないです。良くも悪くも、何も変わらない日本は、海外投資家からすると安心して投資できる先として見ることができます。
2.所有権を取得できる
中国のように外国人の所有権を認めない国や、シンガポールのように高い税金をかけて購入自体のハードルを高くするという国もある中、日本には外国人の所有権に制限がありません。言葉の壁があるものの、司法書士をはじめとする専門家に依頼することで、不動産登記により不動産の所有者が誰なのかを伝えることができます。安全に不動産取引を終えることができるのは、海外投資家にとって大きな魅力です。
3.イールドギャップが大きい
イールドギャップとは、不動産の実質利回りと借入金利の差のことです。過去のコラムでもお伝えしましたが、不動産投資は銀行から借入を行うことが通常です。不動産から得られる収益と銀行に支払う借入金利の差が、不動産投資から得られるインカムゲインとなるため、その差は大きいほど投資家としては嬉しい訳です。皆さんもご存知の通り、日本は歴史的な低金利環境の中にいます。不動産の実質利回りが一定とすると、金利が低ければ低いほどイールドギャップが大きくなり、投資家にとって儲けやすい環境であると言えます。日銀の動向次第では、この環境が変化することが考えられますが、今後1年間は目立った動きは無いのではと考えています。
以上、3つの理由から海外投資家が日本の不動産を買う傾向が強くなっています。私がやりとりしている方も国内で数百億円規模の単位で日本の不動産を購入しており、彼らの動きが地価に影響を与えているのだと感じています。地価が上昇すると、固定資産税や相続税を算定する路線価にも正の影響を与えます。この影響が現れたのが、7月に発表された路線価だと言えます。路線価の上昇により、今後控える相続の対策に悩まれる方も多いと思います。次回のコラムでは、相続税について学んでいきましょう。
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この記事を書いた人
ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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