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物価を安定させる日銀の買入れ

出所)Wilfried PohnkeによるPixabayからの画像

FINDING FUNDS編集部です。

ウィズコロナの生活にも徐々に慣れ、訪日外国人客への入国規制が緩和されてきました。以前と同じようにとまでは行きませんが、まちに賑わいが戻ってきたように感じます。

前のコラムでは、物価についてお伝えしました。最近では企業の努力により抑えられていた商品価格がじわじわと上昇し始めています。物価上昇のことを英語でInflation(インフレーション)と呼ぶことから、各方面でインフレという言葉が飛び交うようになってきました。

今回のインフレは、①新型コロナウイルスの爆発的な流行②アフターコロナの事業再開に向けた人材獲得③ロシア・ウクライナ間の戦争による資源価格の高騰という3つの事象が重なっています。モノを作る原料が高い、モノを作るヒトがいない、という状況なので、私たちの身近な商品の価格が上がっており、下がる見通しはまだまだ立ちません。

物価の急激な上昇を抑えるために、各国の中央銀行は政策金利を上げる(金融引き締め)ことで対処しています。政策金利を上げると、お金を借りたときに支払う費用(金利)が高くなるので、市中の銀行はお金を積極的に借りなくなります。企業も事業を行うための資金を借りることを避け、私たちも家や車を買うときの資金を借りることを渋るようになります。そうなれば、モノが売れなくなり、モノの価格は次第に下がっていきます。私たちの生活に欠かせないお金のやり取りを少なくすることで、物価を下げようとしているのです。

日本銀行では物価を安定させるための方法として、長短金利操作の他に、資産の買入れ方針を決定して、実行に移しています。具体的に見ていきましょう。

資産買入れ方針

資産の買入れ方針について、日本銀行の『金融市場調節方針に関する公表文』を読んでみましょう。7月21日に、下記のように発表されています。

①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

②CP等、社債等については、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(CP等:約2兆円、社債等:約3兆円)へと徐々に戻していく。

公表文にある、ETF、J-REIT、CP、社債というのは、日本銀行が投資対象として掲げている金融商品です。参考にETFについて見てみましょう。日本銀行のホームページでは、月ごとのETF購入金額を公表しています。

(出所) 日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果」を元に編集者作成。

ETFの買入れは2010年12月から始まりました。当初は2011年末までの期限付きでしたが、黒田総裁により、2013年4月から毎年1兆円のETF買入れが実行されるようになりました。それからETF買入れのペースは早められていましたが、新型コロナウイルスの影響により、現在では「必要に応じて」買入れを行うとされています。

日本銀行が買入れを表明しているETFとは、どのようなものなのでしょうか。

ETFとは

ETFとは、Exchange Traded Fundの略で、上場投資信託と呼ばれる投資商品の1つです。株や債券、REITといった商品の値動きと連動することを目標に運用されています。目標とする商品には様々な種類があるのですが、それぞれの値動きは指数で表現することができます。

指数は変化を測るモノサシです。例えば、前回までのコラムでお伝えした消費者物価指数は、商品やサービスの価格が過去と比べてどれほど変化しているのかを測るものでした。

日本銀行が買入れの対象としているETFは、TOPIX(トピックス:東証株価指数)という数字と連動して価格が上下します。TOPIXは東京証券取引所プライム市場に上場する全企業の時価総額の変化を追うもので、下記の計算によって算出されます。

TOPIX = (今のTOPIX構成銘柄の時価総額 ÷ 基準日の時価総額) × 100

ちなみに、TOPIXは1969年7月1日から公表されています。基準日は公表日の前年の大発会(取引の初日)である1968年1月4日です。TOPIXは日本を代表する企業の株価を映した数字なので、変化を追うことで日本経済の動向を知ることができます。

それでは、過去5年間のTOPIXの推移を見てみましょう。2020年の始めのころは新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいましたが、最近は1,900~2,000ポイントあたりで落ち着いています。

(出所)Bloombergのデータを元に編集者作成。

日本銀行はETFを購入するタイミングを公表していませんが、よく言われるのが、「前場(ぜんば:9:00~11:30)のTOPIXが前日と比べて2%以上下がっていたときに、後場(ごば:12:30~15:00)から買入れを行う。」という説です。あくまで憶測ですが、投資をする立場から見ると、安心できる話です。

日本銀行は、資産買入れを通じて「企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。」 と伝えています。ETFを購入することで、日本企業の株価を下支えし、経済を安定させようとしているのですね。

次回からは、今回のコラムで度々登場した株について学んでいきましょう。私が証券会社に勤めていたころのお話も交えながらお伝えしていきますね。

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ファイファン編集部中の人

証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター