不動産投資ニュース
バブル経済が崩壊した3つの要因
FINDING FUNDS編集部です。
今年は歴史的な出来事が起きる年になりそうです。1月24、25日、10年に1度と言われる最強寒波に見舞われ、主要交通機関が一時運休する事態となりました。兵庫県神戸市では雪の層が4センチとなり、18年ぶりの積雪量でした。通勤、通学に大変な思いをされた方は多いのではないでしょうか。天気の他にも、私たちの生活環境には大きな変化が訪れています。
2月の食品値上げ品目は5,500を超え、過去2番目の多さとなりました。他にも、東京電力は2023年6月1日から電気料金を約30%値上げする申請を行なったと発表しています。生活に関わる商品、サービスの価格が上がると生活に支障をきたします。日常生活を守るため、賃金のペースアップを目的とした検討や助成制度の拡充が進められています。パートやアルバイトで働く方の賃金も上昇傾向にあり、良い方向に向かえばと願っています。
今回のコラムでは、バブル経済が崩壊に向かった3つの要因を学びます。不動産小口化商品に関する法律は、バブル崩壊後に整えられました。法律名を不動産特定共同事業法、略して不特法(ふとくほう)と呼びます。この法律は、投資家を守ることを目標としており、主に商品を提供する企業側が果たす義務を定めています。本コラムの内容を学び、不動産CFがなぜ安全性の高い商品設計となっているのか理解する準備をしましょう。
バブル経済を終わらせたのは日銀の金融引き締め
コラムのおさらいをしましょう。バブル経済は日銀が開始した金融緩和(公定歩合の引き下げ)がきっかけとなり始まりました。低金利でお金を借り、その資金は不動産や株式といった投資商品に向かいました。土地や株式の価値が上昇し、投資したお金が殖えることで経済が活性化していきました。殖えたお金を更に投資することで雪だるま式に投資資金が大きくなり、過熱感を帯びてきました。そこで危惧されたのが、行き過ぎた好景気です。
不動産や株式といった投資商品が本来の価値とかけ離れた価格で取引されると、日本のお金に対する信頼が揺らいでしまいます。日銀は物価の安定と金融システムの安定を目的に金融政策を実行しています。(2022.8.12に掲載したコラム、『銀行を守り、生活を支える日本銀行』をご参照ください。)そのため1990年に入ると、日銀は土地や株式の高騰を抑えるため、3つの金融引締策を実行しました。
1. 総量規制
まず着手したのが不動産向けの融資金額を抑えることでした。1990年3月、大蔵省(国の財政および金融行政の分野を一体的に担当する行政機関。後の金融庁と財務省。)は、「土地関連融資の抑制について」という通達を全国の銀行に伝えました。これは、不動産向け融資額の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑えるという内容でした。具体的に当時の融資状況について見ていきましょう。
国内銀行の貸出金額の伸び率推移, 1975〜1995年
グラフは国内銀行の融資金額の伸び率を表しており、オレンジ色が不動産業向け、青色が全ての業種向けの推移です。バブル経済が最も加熱した1980年半ばには、不動産業向け融資の伸び率が30%を超えており、加熱していた当時の状況がよく現れています。総量規制は、このオレンジの線が青色の線より下に向かうようにする措置のことで、90年には不動産向け融資が急激に落ち込んでいることが分かります。総量規制は1991年12月まで続きました。1992年には急激に不動産業向けの貸出が上昇していますが、これは総量規制が解除された反動です。1年9か月に及ぶ総量規制がバブル経済の膨張を止めたのです。
2. 公定歩合の引き上げ
コラムで頻繁に出てくる利上げがこの時期にも行われました。日本銀行は公定歩合を1989年から段階的に引き上げ、1990年には当時として最高の6.0%となり、国内の融資環境を一変させました。下記は過去コラムの抜粋です。
公定歩合, 1975〜1995年(網掛けは景気後退期)
3. 地価税法の導入
地価税とは、課税時期(その年の1月1日午前零時)に法人または個人が保有している国内の土地等を対象に課税される税金のことです。土地の資産価値に応じた税負担を所有者に求めるという目的で、1992年1月1日から施行されました。導入当初は土地の課税価格に対して0.3%の税が課されましたが、1998年には課税が停止されています。
以上、3つの金融引き締め策により、土地神話と称された歴史的な土地価格の上昇は止まり、ボールが坂を転がるように、地価は急落していきました。
全国、全用途の1㎡あたりの土地価格推移, 1975〜2022年
バブル経済の膨張を食い止めるために講じた金融政策は効果が大きく、日本は長期に渡る不景気に悩まされることになります。次回コラムでは、バブル経済の崩壊をきっかけに整備された不動産特定共同事業法を学んでいきます。
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この記事を書いた人
ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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