不動産投資ニュース
決算短信から企業の成果を見てみよう
FINDING FUNDS編集部です。
日本銀行の黒田総裁が4月8日に退任します。彼の任期は歴代最長の10年間。2013年春に就任してから一貫して金融緩和の姿勢を崩すことはありませんでした。今注目されているのは、後任の総裁人事です。総裁は衆参両院の過半数承認を経て内閣が任命するのですが、政府は経済学者の植田氏を指名する案を国会に提出しました。
次期総裁は、黒田氏からバトンを受け取り、金融政策のかじ取りをすることになります。これまでの金融緩和姿勢を続けるのか、それとも全く逆の方向へ政策を転換させるのか、世界中が注目しています。先日、日本銀行の方とお話しする機会がありました。金利情勢は、①中国景気の動向②消費者物価指数の動向③賃上げの動向の3つによって、機動的に変化するのではとコメントされており、春に向けての市場変化に敏感になられていました。
仮に春から植田新総裁となり、金利引き上げ方向に進むとなると、企業が銀行から資金を借り入れることに慎重になります。住宅ローン金利が上がり、クレジットカードの金利も上がり、私たちの生活にも大きな影響が出てきます。金利が上がると、その国の通貨が買われます。そのため円高ドル安となり、輸出関連の会社には痛手となるでしょう。
さて、これまで5大商社の事業、中期経営計画を見てきました。今回のコラムでは、最後のステップとして、株価が手頃な価格なのか見てみましょう。商社の中でも随一の収益を誇る三菱商事の決算短信を参照しながら、注目すべき指標を学んでいきます。
決算短信は事業の成果を株主に伝える書面
決算短信は企業が事業状況を3か月ごとに区切って報告するものです。決算短信を読むことで、企業が稼いでいるかを把握することができます。下記にて登場する表の出所は、三菱商事の連結決算短信です。リンクを掲載しますので、適宜ご参照ください。(https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202302j.pdf)
①経常利益(税引前利益)で、企業が本業で稼げているか確認
決算短信の始めには、その期間に稼いだ利益が書かれています。ここで注目すべきは、本業でどれくらいの利益を稼いだのか。上表の税引前利益がその指標です。(税引前利益には、通年では発生しえない特別な利益や損失が含まれていますので、厳密にいうと経常利益がより近い指標となります。)表を見ると、三菱商事の税引前利益は、前年の同じ期間と比べて48.3%も上昇しています。この数字が継続的に上昇し続けている会社は、本業で利益が稼げていると判断できます。
②配当の金額を確認
皆さんが株式投資をして受け取ることができる利益は2種類あります。1つは株式を買ったときより高い金額で売却したときに受け取る値上がり利益(キャピタルゲイン)。もう1つは、株式を持っている期間において得られる保有期間利益(インカムゲイン)です。配当は、企業が獲得した利益の一部を株主に渡すものであり、長期投資をする方にとって注目すべき数字です。
「配当の状況」を見ると、2022年度は1株あたり150円の配当でしたが、2023年度は30円増え、180円となっています。表では第2四半期末、期末にそれぞれ77円、103円を配当するとされているので、100株持っていると7,700円、10,300円が企業から贈られるということになります。
ちなみに2月17日の三菱商事の株式は4,696円ですので、100株で約47万円の投資金額となります。配当金は7,700円+10,300円=18,000円です。購入金額に対する配当金の割合のことを配当利回りと呼びますが、この例では18,000÷470,000=3.83%となり、まずまずの水準と言えます。
配当金を受け取るためには、株式を購入した人であると企業の名簿に掲載されている必要があります。三菱商事は4月1日から3月31日までを事業期間としているので、9月末(第2四半期)、3月末(期末)が名簿記載日となります。実は、株式を購入してから3営業日後に株主名簿に記載されます。そのため、配当金を目的として株式を購入する場合は、取引をするタイミングに注意が必要です。
例えば、3月31日の配当金を受け取りたい場合には、3月28日までに株式を購入する必要があります。営業日とは、株式が取引できる日を指し、土日祝日を除いた平日のことです。3月31日は金曜日のため、その3営業日前は3月28日です。この日を権利付き最終日と呼び、HPや証券会社で問い合わせることでも確認できます。
③株価を1株あたり利益で割り引くことで、株式がお買い得なのかを判断
決算短信の下部には、企業の利益予想が書かれています。1株当たり当期利益という数字を見ましょう。これは企業が予想する当期利益を発行済み株式数で割り引いたものです。株価をこの数字で割り引くことで、企業の予想PER(Price Earnings Ratio)という指標が算出できます。
PERは、株式が利益の何倍の価格で取引されているのかを示す指標です。日経平均株価に採用されている企業のPERを平均すると、13.07倍になります。三菱商事の予想PERは、4,696÷788.96=5.95倍であり、日経平均の13.07倍と比べると割安であると判断できますね。
これまで見てきた内容を、ぜひ他の企業でも試してみてください。数字を分析するうちに投資したいと思える企業に出会えるはずです。次回のコラムでは、株式を購入するときに必要となる口座について学んでいきましょう。
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この記事を書いた人
ファイファン編集部中の人
証券会社での飛び込み営業から不動産テックベンチャーへ転職。現在は金融と不動産、ITを掛け合わせた専門家となるべく、日々奮闘中。
FUNDING FUNDSのコラムを通じて、日本全体の金融リテラシーを向上させることが夢。趣味は街歩きとカフェ巡り。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト / 不動産証券化協会認定マスター
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